JPEGの品質は「85がよい」と、耳にしたことはありませんか?
そもそも、JPEGの「品質」という数値が何を意味しているのか、深く考えたことはあるでしょうか。
JPEGは1992年に誕生し、30年以上たっています。
今でも写真やウェブ画像など、私たちの身の回りで広く使われている画像フォーマットです。
しかし、JPEGの圧縮の仕組みや「品質」の意味について、詳しく知っているでしょうか。
JPEGは、人間の視覚特性や画像の特徴、情報を効率的に表現するためのさまざまな符号化技術を、うまい具合に組み合わせてデータを削減します。
その裏側には、長年にわたる研究と工夫が積み重ねられており、とてもおもしろい仕組みになっています。
本書では、なるべく予備知識がなくても理解できるように、JPEGの仕組みを解説します。
普段何気なく使っているJPEG画像の舞台裏を、一緒にのぞいてみましょう。
きっと、これまでとは違った視点で画像を見られるようになるはずです。
目次
第1章 色を視るしくみ
- 光の正体
- 光を色と認識するまで
- 桿体細胞の役割
- 錐体細胞の役割
- 色の正体
- 光を視る場合
- 物体を視る場合
- カメラのしくみ
- 標本化
- 量子化
- イメージセンサー
第2章 JPEGファイルフォーマット
- JPEGの誕生
- JPEGの規格
- JPEGコア規格(ISO/IEC 10918-1)
- JPEG File Interchange Format(ISO/IEC 10918-5)
- Exchangeable Image File Format
- JPEGのデータ構造
- Start Of Image
- Application segment
- Define Quantization Table
- Define Huffman Table
- Start Of Frame
- Start Of Scan
- End Of Image
第3章 JPEGの圧縮アルゴリズム
- 画像圧縮の考え方
- 色の変化を省略
- 細かい情報を省略
- データを圧縮
- 圧縮処理の流れ
- 色空間変換
- 色空間の視覚的効果
- ダウンサンプリング
- クロマサブサンプリング方式
- 視覚的影響
- ブロック分割
- レベルシフト
- 離散コサイン変換
- 画像の周波数表現
- 2次元DCT
- 逆DCT
- 量子化
- 量子化テーブル
- デコーダーの品質
- ブロックノイズ
- モスキートノイズ
- エントロピー符号化
- DC 成分の符号化
- AC 成分の符号化
- 全体の計算過程
- 符号化過程
- 復号化過程
付録A JPEG以外のフォーマット
- JPEG 2000
- JPEG XR
- JPEG XT
- JPEG XL
- JPEG XS
- TIFF(Tagged Image File Format)
- GIF(Graphics Interchange Format)
- PNG(Portable Network Graphics)
- BMP(Microsoft Windows Bitmap Image)
- WebP
- RAW
- SVG(Scalable Vector Graphics)
付録B 色空間
- sRGB
- Adobe RGB
- Display P3
- CMYK
- HSV / HSB
- HSL
- YCbCr
付録C 画質評価